イヌの急性膵炎

みなさん、ワールドカップご覧になってますか?

私は,サッカーファンではありませんが、こんなときは応援してしまいます

ガンバッテ! 日本チーム!!

 

 

さて、『急性膵炎疑い』のワンちゃんが立て続けに入院されたので、そのお話を…

 

 

まず,左のチワワちゃんのマリンちゃんが、嘔吐と、食欲廃絶、元気がないと言う事で来院。ときどき変なポーズをとりますとのこと! ←“拝み姿勢”とは違います

 

マリンちゃんは控えめで、子グマのヌイグルミみたいでとてもカワイイ子♡嫌な検査にもグッと耐えてくれます。

 

この子はてんかんの発作?も持っているので脳の疾患がらみかな?と推測

 (あとから思うに,よほどお腹が痛かったのネ…)

 

念のため、血液化学検査を行ったところ、異常なほどの高脂血症、CRPの上昇、リパーゼの上昇がありました

 

膵炎を疑い、念のためcPLキット(膵炎診断キット)をつかって追加の検査をしました

 

cPLキット
cPLキット

これが、その判定結果デス

 

左の青い点よりも右の色が濃ければアウト!!

 

ムム! 誰が見ても右が濃いですネ

 

しかし、リパーゼが高くても、膵炎の確定診断にはなりません!!←コレ大事!

 

 

本当の確定診断は針でお腹を刺して、膵臓の組織を採ってくるか,お腹を開腹して・・・確定となるのかもしれませんが、膵臓を触るだけでも膵炎にならないか心配なのに、そんな危険な事はでき〜ん!

 

実際は、いろんな検査と症状、除外診断を組み合わせて総合的に仮の診断をつけていくのが一般的かと…

 

つまり、私の下す膵炎の診断は、つねに『膵炎疑い』なのです。

 

マリンちゃんも過去に、いろいろかじる子だったので異物や、明らかな腫瘍などを除外するためにレントゲンとエコー検査を行いました。

 

レントゲンでは特に異常を見つけられませんでしたが、エコー検査では異常に白く写る脂肪組織の中に黒い低エコーの腫大した膵臓、肥厚した十二指腸、少量の腹水などが認められ、腫瘍性も完全に否定はできませんが急性膵炎が強く疑われました。

 

 

 

では、犬の急性膵炎とはどんな病気なのでしょうか?

超簡単かつ,アバウトな説明になりますが・・・

 

膵臓とは、血糖値を上げたり、下げたりするホルモン(グルカゴンとインスリン)を分泌する臓器なのは有名ですね!

 

あともう一つ、膵臓は膵液という大事な消化液を分泌する働きもしております。急性膵炎はこの消化液によって膵臓が自己消化に陥る病気です。私のなかでは、原発のメルトダウンのイメージです!!

 

ちなみに、急性膵炎の病状は軽度から重度までありますが、致死率も高く、また再発にも注意が必要な病気です

 

症状は嘔吐だったり、下痢だったり、元気がないなどの、つかみどころのない症状だったりすることもあるので、注意が必要デス!!←人間だったらメッチャお腹が痛いらしいです

 

急性膵炎の起こる原因は後でお話しますが、色々でイマイチこれが原因といえることは少ないです!←でも,なりやすい傾向の子はなんとなく予想できます ウフ♡

 

 

もう一人の患者さんはパグ系ミックスのハナちゃん

この子も非常に性格が良く、相当つらい状態なのに私や,スタッフに気をつかって、シッポをブンブンふって愛想を振りまいてくれます!!この子も嫌な検査にもガマン強く耐えてくれます。人間が大好きみたいですネ。

 

この子も嘔吐と,食欲の低下、元気の消失で来院…

 

元気にふるまう子なだけに、本当はかなりつらかったのでは?

 

 

 

この子もマリンちゃんとほぼ同じ様な血液検査の結果となりました(こってこての高脂血症)

 

念のためcPLで検査して、ハイこのとおり!

 

左より、右が濃い色なので、、、アウト〜!

 

除外診断のため、レントゲンとエコー検査も行い・・・

この子は脾臓や,肝臓にいくつかの結節病変が認められましたがやはり、急性膵炎が強く疑われました。

 

 

 

 

 

 

では、急性の膵炎の治療は、基本的に点滴をしながら絶食・絶水が基本です

 

蛋白分解酵素阻害薬については使われる先生もおられると思いますが、わたしは使用した事はないですネ…

 

最近の獣医学では,飲水や少量の低脂肪食を欲しがる場合、早期に食事を与えた方が良いという事が言われておりますが…

 

やはり,早期に食事を与えるのはチョット怖い!!

 

点滴しながら3日間は何も与えないというのが私のキマリになっております。←そんなにすぐに食べる子はいませんケドね〜!

 

食欲がでてきて、吐き気もなくなれば低脂肪食を当分の間(イツマデ?)食べていただくしか方法がありません

 

 おやつは無しネ! (´Д`。)グスン

 

 

今回のマリンちゃんと、ハナちゃんは退院後にご自宅で低脂肪食を食べてもらいながら経過をみておりますが、マリンちゃんの方がかなり,危険なところまでいっておりました。

 

そして、今後も再発の危険はあります・・・

 

 

さて、犬の急性膵炎の本当の原因は分かりにくいというのが持論ですが・・・

 

① 高脂肪食、不適切な食事

② 薬剤 抗がん剤や、農薬、臭化カリウム、etc…

③ 品種 ミニチュアシュナウザー、ヨークシャテリアや、テリア系の品種

④ 脂質代謝異常、糖尿病、甲状腺機能低下症、副腎機能亢進症など

⑤ 肥満、高トリグリセリド血症、外科手術、避妊去勢済み、腸閉塞、腸炎etc…

 

 などが原因としてあげられます・・・

 

 

そして、誤解をおそれずに、いいますと・・・

 

 

 

急性膵炎は…

 

ポッチャリ体型で・・・

 

美味しいもの(高カロリー)を色々もらい・・・

 

飼い主様にあまえ上手なカワイ子ちゃん!! ←これ大事!!

 

が多いような・・・・気がします(個人の感想です)

 

 

 

そして,とどめに

 

てんぷらや、脂ののったお肉を…

 

たらふく食べたあと…

 

苦しみだした… (꒦ິ⌑꒦ີ)

 

という子もおりました!!! 

 

 

 

 

 発病前
発病前

急性膵炎といえば、人間では原因の多くはアルコールと聞きます

それで、思い出すのがお笑いコンビのチュートリアルの福田さんデス

彼は,バイクレースでもスゴい才能があり、個人的に応援しておりますが、すごくお酒を飲んでいたらしいです…

そして、いつだったか緊急入院

 

診断名はたしか、急性膵炎・・・・

 

 

 

入院後、現在?
入院後、現在?

コチラは、かなり痩せられている福田さん

 

一目瞭然ですネ

 

う〜ん、おそるべし急性膵炎!!

 

 

 

 

 

うーん、こちらのワンコもウエストのクビレがありませんネ〜 おデブ?

 

毛がモコモコで、そう見える訳ではありません!!←立派な五分刈りデス!

 

ずんぐりむっくりの体型ですね!

 

去勢するマエはこんな体型ではなかったはず…

 

すべてが去勢だけのせいではありませんが

 

 

 

 

 

 

 

っていうか飼い主のせい?

 

ハイ、そうでした

 

すべて、私が原因です!!

 

一緒にダイエットする?ケナフ君?

 

 

※2015,10月 追加ですが、『このリパーゼのキットや数値は本当にあてにならない!』

というのが実感です!数値が高いからといっても、膵炎ではないコトが非常に多いです。血液検査だけでは判りませ〜ン。ゴメン!